その指に、残したくて ―可愛い後輩のはずなのに、私のペンだこへの視線が重い―
あらすじ
「……全部、見せて。どこで震えるのかも、どんな顔するのかも、ちゃんと覚えたい」
ただの、人懐こくて可愛い後輩のはずだった。そんな彼が、私の前で、こんなに「男」の顔をするなんて——。
魔導局の法式監理課に所属するミアは、仕事に行き詰まった記録官・ユーリに、指導の手を差し伸べる。 一日三十分だけ、隣で仕事を教える、ささやかな時間。 そんなある日、ユーリは彼女の右手の薬指に、不格好に盛り上がった「ペンだこ」を見つける。
「ミアさんが、僕の知らないところで頑張ってきた証ですね」
そう言って彼は、愛おしそうに、その痕に唇を寄せた。 見慣れた、自分の指の痕のはずなのに。彼の唇が触れた途端、ひどく際どく、隠すべき場所のように思えてしまった——。