静かなる浸食〜パンドラの箱を抱えた夫〜
あらすじ
静かなる浸食――パンドラの箱を抱えた夫――
二十五年という歳月、四十八歳になる妻・菜穂子は、夫の篠田にとって侵すべからざる「聖域」だった。 しかし、彼女が亡き叔父の会社を引き継ぎ、強引で醜悪なコンサルタント・三枝と出会った日から、平穏な日常は音もなく変質していく。
脱ぎ捨てられたブラウスから微かに漂う、知らない男の煙草の匂い。 未明、高級車の助手席から降り立つ妻の、浮き足立った艶やかな歩調。 篠田はただ「観測者」として、妻の内側から溢れ出す見知らぬ「雌」の貌(かお)に震えるしかなかった。
「パパの言っていた背徳、今ならわかる気がするの」
果たして夫の祈りは届くのか。それとも圧倒的な「雄」の前に、妻は堕ちてしまうのか――。 記号的な寝取られでは満足できない、重厚な心理描写と逃げ場のない絶望を求めるあなたへ捧ぐ。 日常が静かに浸食されていく、極限の夫婦サスペンス。
【登場人物】 篠田 雄一(50) 元管理職の専業主夫。崩れゆく日常に怯えつつ、変貌していく妻を特等席で見つめ続ける哀れな「観測者」。
篠田 菜穂子(48) 会社社長。貞淑で完璧な妻だったが、三枝との出会いにより未知の熱に浮かされ、静かに、そして残酷に変容していく。
三枝 勇巳(50代半ば) 醜悪にして敏腕なコンサルタント。冷酷な論理と圧倒的な支配欲で夫婦の間に入り込み、菜穂子を深淵へ導く侵略者。
◆ 連載情報 ◆ 毎日22時、一日一話ずつ更新。 この夫婦が行き着く最後のページまで、決して足を止めることなくお届けします。