娼館で生まれ育った汚れ者ですから、氷の公爵閣下には相応しくないと身を引いたはずが、辺境の離宮に連れ戻されて朝まで愛されている
あらすじ
娼館「蒼月楼」で生まれ育った歌姫のリリエル。客に肌を売ることはなく、夜毎に歌を捧げることだけが彼女の仕事だった。そんなリリエルには、月に一度、たった一曲だけを注文し、指一本触れずに帰っていく常連客がいた。「氷の辺境公爵」と呼ばれるアレクシス閣下である。
三年続いた静かな関係は、ある夜、リリエルが好色な侯爵に買われそうになったことで終わりを告げる。
「連れていく。もう、二度とこの店には返さない」 侯爵の三倍の値を叩きつけ、リリエルを奪い去ったアレクシス。彼が連れ帰った先は、誰の手も届かない辺境の離宮だった。
「三年分、お前の歌だけで堪えた。今夜、その釣りは、身体で」 汚れた自分は彼に相応しくないというリリエルの諦めを、アレクシスは重く深い執着と、獰猛なまでの情欲で打ち砕いていく。
これは娼館で育った孤独な歌姫が、氷の公爵の甘く深い檻に囚われ、身も心も溶かされていく濃密な一夜の物語。