影のない夫は、今日も優しく嘘をつく ~目覚めるたびに記憶が欠けていく僕は、それでも彼を愛している~
あらすじ
【愛しているから、忘れさせる。あなたが独りで生きていけるまで】
辺境の魔塔で暮らすアルフレットは、献身的な夫・ソロモンに溺愛されている。 目覚めるたびに昨日の記憶を失っていくアルフレットを、ソロモンはいつも冷たい指先で愛おしそうに撫で、甘い言葉で不安を溶かしてくれる。
「何も考えなくていい。君は、俺が与える愛だけを食べていればいいんだ」
けれど、完璧なはずの夫には、影がなく、抱きしめられても心音が聞こえない。 さらさらと零れ落ちていく記憶と、日々上書きされる幸福な生活。 アルフレットは違和感を抱きながらも、ソロモンの情欲に身を委ね、忘却の淵で彼を愛し続ける。
ある日、屋根裏で見つけた一振りの『折れた剣』。 それに触れた瞬間、アルフレットの脳裏に、降りしきる雨と死にゆく騎士の記憶がフラッシュバックする。
「……ねえ、ソロモン。あなたは、本当は誰なの?」