毒喰(ぶすぐらい) ―忌むべき血鎖に蝕まれ、狂い堕つる蕾の浮世物語―
徳川の威光が天下を覆い、新たな秩序が築かれつつある寛永年間。 常陸国の外れ、名主の屋敷には、家督の座を巡る醜悪な執念と怨嗟が澱んでいた。 名主の家門に次男として生まれ、長男の影で不遇の生を強いられてきた男。 その胸中には、偉大なる父への憎…
あらすじ
徳川の威光が天下を覆い、新たな秩序が築かれつつある寛永年間。 常陸国の外れ、名主の屋敷には、家督の座を巡る醜悪な執念と怨嗟が澱んでいた。
名主の家門に次男として生まれ、長男の影で不遇の生を強いられてきた男。 その胸中には、偉大なる父への憎悪と、優れた兄への嫉妬が、「毒」となって煮え滾っていた。
男の標的となったのは、瑞々しく咲き誇る可憐な姪。 叔父の放つ歪んだ愛欲に理性を溶かされ、少女は汚濁の深淵へと堕ちてゆく。
これは、血脈の呪縛に囚われた男の、凄惨なる復讐の記録。 「月」が「陰」を照らす中、「花」は「毒」を抱き、ただ咲き乱れるのであった。